【パネルディスカッション オリエンテーション】

     市民参加まちづくりパートナー 宮本 照嗣



私は「市民参加まちづくりパートナー」と称しまして、まちづくりの先端を行く活動にいっしょに参加させていただいて、その実現に協力しながら、学ばせていただいております、宮本と申します。
これからの進行をさせていただきますので、よろしくお願いします。

午前中は現地視察ということで、たつのこ村をごらんいただきました。
たつのこ村では、遊び場創造ということで、たつのこ村スタッフによる大型遊具作り、上総掘り研究会による上総掘り体験、どろんこクラブによる素材遊びとイモ焼きが行われました。
いかがでしたでしょうか。

まちづくりの話は、第一部の講演を聴いていただいてもわかりますように、佐倉のまちづくりの話、こどもが抱えている現況の話、それから新しい技術でまちづくりに貢献していく話と、ものすごく幅が広いです。
皆さんのお手元に配っている資料がありますよね、それはもっと幅が広いのです。
その一端をご紹介し、「こどもとまちづくり」について、さまざまな立場とやり方で活動を実践していらっしゃる皆さんにお話しをいただき、パネルディスカッションと会場を交えての議論という形で第2部を進めて行こうと思います。

早速、パネラーの皆さんをご紹介させていただきます。

あそび環境づくりについて話していただきます、建築家でアトリエ・そうわーくすを主宰されています、たつのこ村事務局長の奥津輝久さんです。
お隣は、一市民、一個人としてのまちづくりという立場で、会社員であり週末NPo、oはワンセルフですが、週末NPoをやっていらっしゃる新谷義男さんです。
そのお隣は、佐倉こどもステーションの副理事長で、こどもの環境づくりについて実践的に取り組んでおられる大場博子さんです。
それから一番端っこ、きのうまで中間試験がありました、子どもの活動について話していただきます、中学生です、中学3年の粟根愛さんです。よろしくお願いします。

(子どもとまちづくり研究会の概要)
それでは、お手元にある子どもとまちづくり研究会の記録をごらんいただきながら聞いてください。
非常に駆け足ですが、せっかく学んだ話の一端をご紹介したいと思います。

「NPOさくら緑ネット」と言うのがあります。これは宮前町内会の地区長さんのOB会で、子どもたちに自然学習の機会を提供するという、プログラム型のNPOですね。
岩名運動公園に隣接する休耕田を使いまして、ビオトープを作ったり、カブトムシを養殖したりしています。
やり方としては、カヌーや稲刈り、キャンプファイヤーと言った参加体験型のイベントを2千円から7千円で提供していて、最大200人集まったと言います。
彼らの希望としては、いろいろな子ども関係、まちづくり関係の団体と連携を図っていきたいと言われていました。

どろんこクラブ、午前中にごらんいただいた方もいらっしゃると思いますけれども、子育て中のお母さんが担い手なんです。子育て支援じゃないんです。
0〜4歳児を対象に、料理をしたり、子どもたちが主体的に、子どもたちが主体的にですよ、遊ぶという事をやっています。
臨床心理士や料理のワークショップを行って、活動レベルを上げながら努力されています。最初は「あれもしたい」「これもしたい」と言う人たちが集まってやったのですが、その人たちはワンラウンドやると、もう次のことをやりたくなって、この活動からは遠ざかり始めている。
それで、今居る人たちがみんなで運営できるようにと言うことで、リーダーを、期間を決めて交代制でやると言うような事も考えられています。

それから、たつのこ村の奥津さんは後でパネラーとして発言いたしますので、除かせていただきます。

それから、面白いんですけれども、研究会を自分たちで勉強するだけでなく、9月12日にですね、延藤安弘さんに「子どもと大人と縁側で」と言うテーマで話をしていただきました。
これは、都市の中にコミュニティを作っていく、彼は「ナットワーク」とよく呼んでいますが、市民・企業・行政の橋渡しをしていく、そういった場を造るということで、高齢者と子ども、生活者と専門家、市民と行政が自発的に緩やかに結ばれる出会いの場所を作っています。
この講演会は、今、上の音響室で奮闘している飯塚将太君とこちらにいる粟根愛さんなどの中高生が企画運営したものでした。

9月25日にはNPOこどものまち「ミニさくら」、先ほど司会をしていました中村桃子さんが説明していただきました。
これは、子どもたちが自分たちで主体的に決めていける「子どもが創るまち」なんですね。
中高生の若者たちに最初の段階から声を掛けまして、準備段階から、子ども会議というのが大人の会議とは別に一緒に走ったと言う形をとっています。
実際に町を開いてみると、一日一日、子どもたちが自分たちで物事を決めて、お店を開いたりしてですね、だんだん町らしくなって行きました。
「こどものまち」の新聞には、「アイアイモール(会場にした中志津商店街の名称)のいいところ」とか「佐倉のいいところ」と言う記事が出てきまして、・・遊ぶとですね、皆にいいことをしようと言う意識が出てくるんです
これは、私、千葉ニュータウンで大人がやる大人のまちづくりのイベントをやってたんですけど、そこでも同じような傾向が出ましたけども・・、まちを良くしていこうという子どもの意識がはっきり出てきたと言う事です。
「市民の一人として子どもがいる!」と言う事をしっかり印象付けたプログラムでした。

それから、佐倉市美術館の「体感する美術=まちかどギャラリー」について、永山さんにご紹介いただきました。
ですからこれは市民活動ではないですね、美術館が行っている活動です。
体感する美術というのは、美術とまち・人を結ぶ事業と位置づけていまして、アートのまちづくりという視点で活動しています。
子どものプログラムが多いのですが、そのプログラムに大人に協力していただいて、美術に参加していただくという、大人子どもを対象にしたプログラムでやっています。
いろいろな人に関わっていただいているのですが、関係するメンバーが固定化してきたことから、学校の先生にも協力いただいて、協力メンバーを増やしていく工夫をしています。

志津散策の会、後ろにパネルがありまして、車椅子で歩けるところのパンフレットがあります。
後で是非手にとって中味を見ていただきたいのですけども、行政がやった志津学入門と言うのに参加した仲間が作った楽しむ会なんですね。
その楽しむための会が、公民館の方などから「せっかく会を作ったのだから佐倉のサポート事業をやってみたら」という提案を受けまして、「それならやってみるか」ということで。
イメージしたのは、「“お年より夫婦が車椅子を押してゆっくり歩いていって楽しめる道”を案内したい!」と、そういうことで調査をしました。
レベル、水準測量器と言う専門的な機械ですが、これは知り合いの業者に借りまして、調査のやり方についてノウハウは誰も教えてくれない中で、先ほど小栗さんが言われました「現場に出て現場から学ぶ」ということで大変立派な調査をされています。

これの立派なところは、いろいろパネルにありますが、ここはまずいなと言うとこがやっぱり出てくるんですね。
看板のつけ方がまずいとか、縁石がまずいとか。
それを、普通の市民団体は紙に書いて、行政に「これをやりなさい!」とやりたがるじゃないですか。
この方たちは大変やさしくてですね、「そういうやり方をすると、行政の人だって一生懸命やっているのに困るかもしれない」。
だから成果発表をする中で、「こういうところはこうすると良くなりますよ!」と言う改善の提案を、逐一説明すると言うやり方をされまして、後で現場に行ってみると、行政の方がかなりの部分黙って直してくれていたと言うことです。
これも面白い協働のやり方ですね。

10月9日、木曜の家、中邨淑子さん。障害のある人も楽しく生きていける場を造って生きたい。
障害者といわれる方、3〜4百万人いるんです。
だけど町にいませんよね。
そういう人たちが町に出て行けるようにしたい。
障害のある人と無い人が、一緒に勉強して共に育ち、学ぶことを目指していると言うことです。
学校を出てしまうと地域の仲で共に育つ場と言うのが無いので、それを提供しているのが「木曜の家」だと言うことですね。
「街に力がないと、地域に力がないと、障害者は生きていけません」という事を言われています。

バリアフリーとか何とか行っていますけども、外国では乳母車や車椅子を押していれば、段差にくれば手が何本も同時に出てくるのが当たり前の状況とも聞いています。
日本だけが、どうも特殊なのかもしれません。県との共同事業で、同じ悩みを持つ人が悩みを共有しながら相談を受けると言うことが出来る「ノーマライゼーション相談事業」というのをやっています。
お互いに、自分も悩みを抱えている人同士で、本当に相談しあうと言うことが出来ているようですね。

それから、佐倉TMO、先ほどご説明いただきましたので、高橋義和さんにご説明いただいたのですが、省かせていただきます。

10月17日に、今度は増田喜昭さんと言う方の「まちで遊ぶ、まちに生きる」という講演会を聞きました。
これはNPOこどものまちが主宰した事業に、子どものまち研究会に集まった団体がみんなで参加したと言うことですね。
四日市で「メリーゴーランド」という児童書の専門店をやっている、要は企業ですね。四日市の人口が2千人しか居ない町で、全国でトップの児童書の専門店をやっているという。
内外を問わず、海外からも来るんですよ、絵本作家や詩人などの講演会、パフォーマンス。
そういったことをほぼ毎週やられています。それだけじゃないんです。
「遊び術」と言うタイトルで、子どもたちを多数連れて外へ出かけていっての、川登とか、体験学習会をやっています。
その中では、四日市市と協働でシドニー港まで子どもたちを連れて行って、1ヶ月探検をしたと言うようなこともやっていますね。

以上大変駆け足でしたけれども、私たちがこのフォーラムをやるまでに、どんな事を見聞きしてきたかという事を皆さんにもちょっと知っていただきたくて、ご説明しました。

(まちかどフォーラムin佐倉の特色)
ということで、今日の「佐倉まちかどフォーラム」というのは、大きな特色が2つあると思います。

1つはテーマです。
佐倉では、佐倉TMOの歴史資料館とか、佐倉茶屋とか、本当に全国から視察が殺到している施設がいっぱいあります。だけど、それがテーマじゃないんですね、今日。
「まちかどフォーラム」それをテーマに据えれば何でもないんですけども、敢えてそうしておりません。
子供に関しても「ミニさくら」、それから後で紹介いただきます「佐倉市民ミュージカル」、こういったのがありまして、非常に本格的な、市民団体が提供できる最先端の事業がいっぱい行われているんです。
午前中にごらんいただいた「たつのこ村」、これも、失われた遊び場を自分たちで作り出すという、とってもすばらしい活動ですね。
こんな特色のある佐倉ですから、「佐倉まちかどフォーラム」のテーマを「こどもとまちづくり」という事にして、今日、開催に至っています。

それからもうひとつの特色としては進め方です。
「まちかどフォーラムin佐倉」の準備に集まっていただいた団体の方、今日ここに並んでいる人も含めて、あるいは今日、別の活動で来られない方が実は半分以上なんですけども、大変多忙なキーマンのかたがたなんです。
そういった人たちが、この準備だけのために何回も集まるのはもったいないと言う事で始まったのが「子どもとまちづくり研究会」という、先ほどかいつまんでご紹介した研究会です。
その中で、佐倉TMOの佐倉茶屋という所で、毎月定例でそういう研究発表会があるんですね、それをそっくり頂きました。
1回に2〜3人、研究発表していただいて質問して交流すると言うスタイルをして来ています。
ここら辺が非常に特色のある所と言えると思いますね。

それでは、私からの説明はそこら辺にしまして、具体的に、こちらのパネラーの方々が進めている実践についてご説明をいただきたいと思います。
まず、遊び環境作りということについて、奥津輝久さん、よろしくお願いします。